日のすきま
2009-02-24T22:45:57+09:00
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植木屋松吉のひとりごと。たぶん言葉だけがあるのだろう。
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2009-02-24T22:26:00+09:00
2009-02-24T22:45:57+09:00
2009-02-24T22:27:10+09:00
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未分類
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■ 秋雨 (024)
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2008-10-01T21:05:10+09:00
2008-10-01T21:05:51+09:00
2008-10-01T21:05:51+09:00
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未分類
不安が形象して秋になる。
何もかも光薄く透き通る。
蝉が落ち、栗が落ち、草花が朽ちる。
山の生き物が朽ちてゆく。
毎年のことながら、
定めながら。
現場へ向かう県道沿いを毎日、
紙袋を下げて往復している半袖半ズボンの老人がいる。
首を傾げ、ひとりごとを呟きながら、
黄金色に染まった稲田の景色の中を歩いている。
どこへゆくのだろう。
そしてどこへ帰るのだろう。
その老人も長ズボンになった。
小雨降る中、傘も差さずに、
身を傾けて、急ぎ足で歩いてゆく。
修羅のように、菩薩のように。
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■ あけびときつね (023)
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2008-09-30T21:17:13+09:00
2008-09-30T21:10:47+09:00
2008-09-30T21:10:47+09:00
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今年も秋の田が刈り取られてゆく。
このあたりはコンバインは少なく、「はさ」に稲束が架けられてゆく。
家族総出なのだろう。
見たこともない若者が働いている。
はさ架けの直線。
直線が山の田に点在している。
こんな抽象は、どんな時間がゆくのだろう。
アケビが実を太らせ、もうすぐ割れる。
何かが満ちて、かなしみがこぼれる。
月夜の帰り、ヘッドライトをキツネが横切った。
舗道を跳躍し、こちらを正対し、
また阿弥陀堂の奥へ消えた。
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■ 秋露 (022)
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2008-09-28T07:11:00+09:00
2008-09-29T07:16:42+09:00
2008-09-29T07:16:42+09:00
hinosukima
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実に(また)3ヶ月ぶりの「日のすきま」である。
メルマガを配信している「まぐまぐ」から、いい加減にしないと廃刊処理すると脅しが何度も来た。
年明けには「年間200本」とした目標も、9月末の今日でまだ「22」である。とうてい無理ですな。
今日は風邪を引いて現場を早上がりして昼寝して、寝覚めに(実に久しぶりに)存在の外側に引き出されて、「言葉」しています。
まだ9月なのにストーブ点ける肌寒さ。
ああ、数学やりてえ、言葉してえ、次元を跨ぎてえ、音に色に染まりてぇ、
コンポスト横に勝手に発芽し葉を這わせ結実したカボチャの切断面(黄色い時間)の言葉。
おいしくいただきました。
秋が朝露を
今年も宝石のように輝かせている。
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■ 地力 (021)
http://hinosukima.exblog.jp/9119367/
2008-06-26T23:08:00+09:00
2008-06-26T23:14:38+09:00
2008-06-26T23:09:01+09:00
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雨が、
降るんだか、
降らないんだか。
テレビでは、
化成肥料で育てられた子どもや、いい歳した大人が、
無関係な他人を殺傷してうさ晴らしをしている。
それで社会の地力を上げようと、
EM菌(有用微生物群)だけで土地を肥やそうとする。
なにが善玉菌で何が悪玉菌なのか。
ぜんぶ一対応一。
次元が何処にもひらかない。
雨が、
降るんだか、
降らないんだか。
絶望した、絶望する次元は、皐月の鯉の吹き流しに、肚の中を、
びょうびょう吹かせ、その音を聴けばいい。
生きることは、多層する次元を、ひらき、引き受け、生きること。
雨が、
降るんだか、
降らないんだか。
今日の段取りがつきません。
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■ (020)
http://hinosukima.exblog.jp/9089292/
2008-06-21T22:47:00+09:00
2008-06-21T23:13:35+09:00
2008-06-21T22:48:11+09:00
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未分類
この2か月、
私は一所懸命働いていました。
友達が死んで泣きました。
桜が散って、山吹が咲いて、卯の花が落ちました。
この2か月、
経費と労賃の計算をしていました。
マタタビの葉が白くなって、アジサイが色を付けました。
スズメバチを殺しました。
この2か月、
クレーン車の下敷きになって死にそうになりました。
畑の草刈を3回しました。
目を三角にして怒鳴ったりしました。
畑はラッキョウ、ニンニク、タマネギ、
ジャガイモは生育悪し、
犬も猫も元気です。
ただいま毛の抜け換え中。
夕方7時を過ぎてもまだ明るい。
アセンションなんて知らない。
魂はおまえのように平板じゃない。
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■ 花 (019)
http://hinosukima.exblog.jp/8686349/
2008-04-18T19:52:01+09:00
2008-04-18T19:52:09+09:00
2008-04-18T19:52:09+09:00
hinosukima
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カーテンを開けると、庭一面雪が降ったかと思うような桜花。
夜来の雨で一気に散った。
渓の色も日に日に染まり酔ったよう。
なんだかんだとまた春は来て、
ネコがパソコンの下に首のないネズミの惨殺体を置いていたりする。
玄関にはトカゲの死骸。
モクレンも散って汚くなった。
生命は物質界の汚れにござる。
夢にござる。
モノが酔って
時間を生きて
汚くなって
滅してゆく。
それをひとつの次元として、
親兄弟、親戚一同の生計(たつき)があり、
今日、明日、我が身のオマンマがあり、
子どもがいれば子どもの将来があり、
花が咲き、花が散り、星が割れ、また、
夢にござる。
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■ ちょっとこい (018)
http://hinosukima.exblog.jp/8640502/
2008-04-11T22:49:00+09:00
2008-04-11T22:48:04+09:00
2008-04-11T22:46:11+09:00
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行き来する峪道の新緑が日に日に彩られる。
毎春のことだが絶妙極まりない。
これは「るーとら」達の仕業だと妻は言う。
春になると「るーとら」達は山から下りて来て、葉っぱを一枚一枚塗り上げる。
そんな透明な絵の具を持っているのだと言う。
今日も暗い雨だと観念していたが、なんとか現場になった。
敷石にする御影石材を土場からクレーン車で吊り上げ現場に下ろす。
重力だか引力だか、質量というものは殺意に満ちている。
吊った石の下で座禅を組みたくなる。
ウグイスが惚れ惚れとする声で鳴いている。
「チョットコイ、チョットコイ」と呼ぶ鳥もいる。
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■ しょんない (017)
http://hinosukima.exblog.jp/8634973/
2008-04-10T00:08:00+09:00
2008-04-11T00:10:44+09:00
2008-04-11T00:08:35+09:00
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じたじたと雨が降る。
家脇の桜は三分咲きのまま。
ミツマタの花のむせるような香りも雨に流されている。
気が付いたら2ヶ月ここをサボっていた。
そんなこんなであっという間に白髪の爺さんになる。
あるいはクレーンの下敷きになったり、吊った石に潰されて植物人間のまま夢幻をさ迷ったりする。
能を見た。
「羽衣」「小鍛治」。
笛や鼓が虚を切り裂いて、面を付けた異形のものが別次元に舞い跳躍する。
謡曲集を文字面で読んでは知り得ないものが現前する。
庭作りが始まって、毎日人様の庭でああでもないこうでもないやっている。
現場の行き帰りは塩飴舐めながらラジカセで端唄を聴く。
♪ 梅は咲いたか桜はまだかいな
柳なよなよ風次第
山吹や浮気で色ばっかり
しょんないな~ ♪
梅も咲いて桜も咲いて、山吹も咲いたのを見た。
今年も生きながらえて春を見る。
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■ 福寿草 (016)
http://hinosukima.exblog.jp/8210870/
2008-02-11T22:24:00+09:00
2008-02-29T07:12:26+09:00
2008-02-11T22:24:43+09:00
hinosukima
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無が飽和して物理の世界が生まれ、
物理は満ちて化学に溢れ、
化学は濡れて揺らいで、生命がこぼれた。
そしてあんた、
生命は繋がり、重ねられ、
ぽん、
と意識に晴れた。
晴れた、晴れた、
意識はころころ転がって、心になった。
心は心に記憶され、記憶は言葉になった。
言葉はいったい、何処へゆくのだろう。
言葉はたぶん、
いろんな次元の旅をして、
老いて宇宙の身体になり、
また消滅して、
無のように泣いたり、
赤子のように揺らいだりするのだろう。
久しぶりの現場仕事。
スコップで地面を掘って、猫車で運ぶ。
横では妻もスコップを振るう。
小鳥がちよちよ唄っている。
ミミズがにょろにょろ顔を出す。
ふくじゅそうの花が開いた。
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■ ルリビタキ (015)
http://hinosukima.exblog.jp/8198378/
2008-02-10T11:23:46+09:00
2008-02-10T11:23:46+09:00
2008-02-10T11:23:46+09:00
hinosukima
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庭で薪を割っていると、視界の隅で朱と瑠璃が混じるように交差した。
ジョウビタキとルリビタキが縄張りを争ったようだった。
瑠璃が敗れ、クルマの窓に当たって落ちた。
しばらく動かないので近寄って手に取ってみた。
あまりに軽いぬくもり。
気が付くと指にべっとり血が付いた。
右目の辺りをやられたらしい。
人と同じ血の色。
ルリはふとした隙に手を離れ、部屋の中を飛び回った。
家猫にやられないように、妻とふたりで椅子を持ち出して追いかけた。
見失って諦めかけた時、スキャナの上の鴨居に糞をして留まっていた。
もう一度そっと手に包む。
ここまで幾年か生き続けてきた小さなものの質感が、身体に波紋する。
この身体で小枝を渡り、地面を探し、さらに小さなものの命を捕ってきたのだろう。
空に放すと瑠璃色のものは、過たず山の方へ消えていった。
初めて見るような美しい曲線だった。
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■ 十字架 (014)
http://hinosukima.exblog.jp/8197909/
2008-02-09T09:40:00+09:00
2008-02-10T09:46:12+09:00
2008-02-10T09:42:09+09:00
hinosukima
未分類
冬の日が続く。
土場(材料置き場)を探して、あちこち声をかけていたが近くで良いところが見つかった。
県道脇の半反ほどカーブしてふくらんだところ。
山から切り出した材木の仮置き場に使われていた。
砕石を敷いてあるので2t車も入れる。
これで地代が年2万円。
地主の古老と土地の確認に歩いていた時、すぐ傍の廃屋が気になった。
破風のトタン壁に、赤い十字架が打ってある。
古老に訊いてみた。
「ここに住んでだ奴はずいぶんオレが面倒みてやったんだ」
老人はぼそぼそと語る。
もう亡くなったんですか。
「アタマおがしくて役所に連れられていっだんだ」
「中を見でみろ、ひどいもんだ」
地主が渋い引き戸を開けると、座敷にゴミが山のように積んであった。
「カップラーメンばかり喰ってだんだ」
鴨居を見ると、聖母子の絵が額に入れて飾ってある。
そこだけ清しい光があるようだった。
この辺りには昔炭坑があった。
炭道の通風口がすぐ傍にまだ残っている。
畑の真ん中に煉瓦造りで立っている。
それは何かの、忘れられた物語のようだ。
十字架の掛かった廃屋も、部屋の中のゴミも、聖母子像も、伝承されない物語を抱えたまま、季節の中に朽ち果ててゆく。
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■ ぶむぶむぶむ、(013)
http://hinosukima.exblog.jp/8147789/
2008-02-03T22:12:52+09:00
2008-02-03T22:13:00+09:00
2008-02-03T22:13:00+09:00
hinosukima
未分類
久しぶりに雪が降っている。
雪は音を吸っていつまでも降り続く。
犬にエサをやりにゆくと長靴の下で雪が音を立てる。
ぶむぶむ、
ぶむぶむぶむ、
ぶむぶむぶむぶむ、
ぶむぶむ、
ぶむぶむぶむぶむぶむ、
歩き回って雪景色を撮った。
庭作りの資料集めで、ずっと家に籠もりっぱなしだった。
天気が良いのに現場に出ないと、遊んでいる気持ちで焦ってくる。
今日は雪なので安心だ。
みんな家に籠もって雪を見ているだろう。
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■ 流れる (012)
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2008-01-23T15:05:00+09:00
2008-01-24T19:49:06+09:00
2008-01-24T15:08:15+09:00
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右奥歯の抜歯。
ペンチのようなものでギリギリと歯を抜かれている間、外は雨になっていた。
無のゆらぎの多数の次元のひとつから宇宙が誕生し、銀河が渦巻き、太陽が燃え、丁度よい距離に地球が回り始めた。
地球は、衛星月を持ち、いくつかの小惑星衝突を受け入れ、様々な元素が化学合成し、海が生まれ、海は潮汐し、奇跡的に生命が誕生した。
単細胞から多細胞、さらに脊椎を持つものが現れ、そのうち哺乳する類が胎内に海を囲い、そこで受精したひとつが人間になった。
人間の歴史。戦争と平和。愛と憎しみ。信と不信。民族と国家。科学と経済。祖父達が生まれ、父達が生まれ、自分が生まれた。
自分の半生。幼年期。少年期。青年期。食べ、働き、眠り、読み書きし、病気し、結婚し、喜怒哀楽して来た。
何処から来て何処へ行くのか、分からない。
分からないが、時間だけは、変わりなく一方向に流れてきた。
路傍の石や土くれも、山川草木、魚貝鳥獣も皆同じ方向に流れて来た。
そしてこれからも流れゆくだろう。
なんと不思議なことだろう。
そして意識だけが、こころだけが、このように過去にも未来にも別次元にも飛ぶ。
自分のこころだけでなく、ひとのこころにも、犬や猫のこころにも、山川草木、魚貝鳥獣のこころにも飛ぶ。
不可思議窮まりない。
ところでわが奥歯に取りかかった若い歯科医師は、まだ抜歯に成功していない。
歯が根元で割れてしまったようだ。
色んな道具を引っ張り出して四苦八苦している。
不安この上ない。
雨は雪にもならずしとしとと降り続けている。
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■ 小さいもの (011)
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2008-01-21T20:50:00+09:00
2008-01-23T06:40:24+09:00
2008-01-22T20:52:09+09:00
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未分類
久しぶりに不動堂横の畑を耕す。
冬の日が当たって暖かそうだったが、風が冷たい。
動かないでいると凍えてしまう。
水路の水もいつまでも凍っている。
それでもイヌノフグリが小さい花を付けていた。
少年の頃、道端にこの花を見つけるのが好きだった。
冬の日溜まりの小さく青い星。
小さいものに向き合っていると、
ひっ、ひっ、とジョウビタキが来て尾を振ってゆく。
いつもひとりで楽しそうにやってくる。
そしていつの間にかいなくなる。
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