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2007年 08月 25日
畑の畝立てから帰ってうどんを食べて昼寝した。 縁側の向こうの日射しの庭で、蝉がジージ、ミンミンと波立っている。 立ち上がる波の中を、在る物、在らぬ物が陰影する。 夢もうつつも水底の光紋のようだ。 午睡の後はいつも哀しい。 連続すること、分断することのほつれ目を、ほどく様に、結ぶように、また畑で畝を立てる。 夕暮れ、家に帰ると近くの不動堂から祭り囃子が聞こえた。 風呂上がりビール片手に、こども鹿踊りを見た。 #
by hinosukima
| 2007-08-25 21:18
2007年 08月 24日
日々の底が割れて立っていることもしんどくなると、堆肥整理や畑の土いじりをする。 仕事で出る剪定ゴミは崖下の畑に捨てて、堆肥にし、時折整理している。 太陽光と雨と虫と微生物にこなれて、枝葉は次第に腐り、湯気を出し、発酵する。 こちらがこちらの日々を経由している間、マキもサクラもベニカナメも、ツゲもコブシもモッコクも、ツツジもマツもヤマボウシも、みんな皆それぞれの速度で腐り、発酵し、分解されてゆく。 堆肥鍬やホークでその山を切り返してゆく。 骨になった枝はより分けて別の山にする。 これはこれでストーブの焚き付けの柴になる。 ひと山崩すごとにミミズやアリやムカデやイモムシが転げ出る。 菌糸の固まりが「むわっ」と湯気を出す。 ここにはここの階層があり、ここの時間が流れ、たくさんの連鎖があり、生成や消滅がある。 汗を流しながら作業していると、なぜか身毒が流れ、虚無などどうでもよいことのように思えてくる。 畑をやっている時もそうだ。 土は生き物だ。 世界の向こうにはいくらでも世界がある。 #
by hinosukima
| 2007-08-24 21:01
2007年 08月 22日
今朝の地方紙に、ゴルフ場に忍び込んだ男が、自販機の下敷きになって死んでいた、と出ていた。 「休憩所には高さ二㍍ほどの自販機が二台並び、男性は一台の自販機の端から頭を出す形でうつ伏せの状態で下敷きになっていた。もう一台が扉をこじ開けられ荒らされていたことから、男性は残る自販機も開けようとして誤って下敷きになったとみられている。自販機は一台三百㌔はあるという。近くには長めのバールや厚紙で作ったお面があった。男性は身長が165㌢、やせ形で上下が紺色のかっぱをまとい、黒色のゴム長靴を履いていた。宮城県在住の五十歳前後の男性とみられ、」「ゴルフ場はクラブハウスを改装中で営業しておらず、従業員が二十日朝から駐車場に宮城ナンバーの不審車が止めてあったのを見ていることから二十日早朝までに侵入し、死亡したとみている。」 (福島民報2007/8/22) 今日は採石場に行って、庭に使う石を積んできた。 炎熱のせめてもの日よけに麦わら帽を被って石を選んだ。 汗が出ると水冷になって少しは凌げた。 それでも水筒の氷水を頭にかぶった。 土場に石を下ろそうとしたところで雷音。 空を引き裂くように光と音が走った。 すぐに土砂のような雨が降った。 ゴルフ場に忍び入った見知らぬ五十男は、 「厚紙で作ったお面」 「雨合羽と長靴」 「長めのバール」 「自販機から頭を出して」 人知れず死んだ。 上手くいっていれば今日の昼には隣り合わせてラーメンを啜っていたかも知れない。 雷雨は夜になっても止まない。 植木には佳い雨だ。 #
by hinosukima
| 2007-08-22 19:37
2007年 08月 21日
酷暑。 仕事を入れた。 モーローと枝葉を鋏んだ。 日向に出ると被爆している気になる。 盆前にハサミ類を研いでおいてよかった。 休み明けに錆びきった道具を使うのはめげる。 乗り込んだ樹に申しわけないし、この身に失礼だ。 砂利に落ちた葉を掃除していると死んだ蝉がいくつも出る。 綺麗な模型のように蝉が落ちている。 小ぼうきで掃いて箕(み)に入れる。 命のらりるれろ。 そのうち母が入るし、父が入る。 人間どもがみんな入る。 縁起まるごと流れて夕暮れ、 今日のおアシ戴いて家に帰る。 #
by hinosukima
| 2007-08-21 19:47
2007年 08月 20日
雲を見ていると飽きない。 心を吸われる。 夏は青空に入道雲が湧き上がる。 それだけで打ちのめされたように嬉しい。 いつかスペースシャトルが撮った地球の写真集を見た。 薄い大気圏に積乱雲がキノコのように立っていた。 あの雲の下に私達の生活がある。 なんとゴージャスなシャーレだろう。 無の寒天培地に、多様な階層を作り上げ、その奥底に存在が立ち上がる。 なんとまあ天晴れな水族館だろう。 #
by hinosukima
| 2007-08-20 21:37
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